厚生労働省が推奨?日本人の食事摂取基準によるDHA・EPAの摂取目安量
頭がよくなる栄養素というイメージが強かったDHAですが、様々な研究で、生活習慣病の予防をはじめ、健康にとっても注目されている栄養です。
また、妊婦さんや授乳中のママにも嬉しい効果が期待できることが解ってきています。
厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」における、DHA・EPA等のオメガ3脂肪酸の摂取目標・目安量を見ていきましょう。
目次
DHA・EPAは厚生労働省が摂取目標を定めている
厚生労働省が定めるDHA・EPA、オメガ3系脂肪酸の摂取目安量を、「日本人の食事摂取基準」の2010年版と2015年版とで見ていきましょう。
「日本人の食事摂取基準」2010年版のDHA・EPA目標量
望ましいEPA及びDHAの摂取量
1日あたり1g(1,000mg)以上
2010年版では子どもに対する摂取目安量は示されていません。
18歳以上、男女区別なく1日あたり1g以上とされています。また、有効といえる資料・研究結果がないことから摂取上限量も定められていません。
「日本人の食事摂取基準」2010年版(脂質)
2015年版ではオメガ3脂肪酸として目安量が設定
2015年版の「日本人の食事摂取基準」では、DHA・EPAについてはオメガ3脂肪酸としてひとくくりになっています。
オメガ3脂肪酸としての摂取目安量が示され、DHA・EPA個別記載が無くなりました。
オメガ3脂肪酸とは
栄養素のひとつである脂肪酸には色々な種類があります。バターを代表とする飽和脂肪酸の他に不飽和脂肪酸があり、不飽和脂肪酸の中にも種類があってDHAやEPAはオメガ3脂肪酸と呼ばれています。
代表的なオメガ3脂肪酸は、α-リノレン酸、EPA、DPA、DHAです。α-リノレン酸は主に植物油に多く含まれていますが、人の身体の中でEPAやDHAに変わります。
2010年版では子どもの目安量は示されず、また18歳以上は男女問わず一律1g/日でしたが、2015年版ではオメガ3脂肪酸として年齢・男女・妊婦・授乳婦など細かく目安量が示されています。
1日あたりの摂取目安量:一部抜粋
年齢 | 男性 | 女性 | 備考 |
---|---|---|---|
0~5(月) | 0.9g | 0.9g | 乳児、男女同じ |
6~11(月) | 0.8g | 0.8g | 離乳食をスタートした乳児、男女同じ |
1~2歳 | 0.7g | 0.8g | 離乳食を食べている子ども |
3~5歳 | 1.3g | 1.1g | 幼児食を食べている子ども |
6~7歳 | 1.4g | 1.3g | 就学前後の子ども |
12~14歳 | 2.1g | 1.8g | 第二次性徴期に入った子ども |
18~29歳 | 2.0g | 1.6g | ― |
50~69歳 | 2.4g | 2.0g | ― |
子どもはもちろん、成人や中高年に対しても量が示されています。面白いのは、50歳以上になると第二次性徴期の頃よりも多く必要とされていることです。
50歳以上の目安量が多い理由は?
これはDHAなどをはじめとするオメガ3脂肪酸が、脳の神経細胞の構築や維持に重要だったり、血管や心臓の病気リスク低減、糖尿病・乳癌・大腸癌・前立腺癌などのリスク低減に有効という研究があるためです。
また、一部では認知機能や認知症についても関連があるという報告もあります。
「日本人の食事摂取基準」2015年版(脂質)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042631.pdf
妊婦、授乳婦は個別に目安量が設定
妊婦さんがDHAを多く摂ると、胎盤・へその緒を通ってお腹の中の赤ちゃんに他の栄養素と一緒に送られることが解っています。
また、授乳中のママがDHAを積極的に摂れば母乳を介して赤ちゃんが摂取できることも解っています。
このため、妊婦さんや授乳中のママについて、個別にオメガ3脂肪酸の摂取目安量が示されています。
妊婦 | 1.8g/日 |
---|---|
授乳婦 | 1.8g/日 |
これは18~29歳の女性の目安量1.6g/日より多くなっています。二人分摂取しよう!という訳ではありませんが、意識的に多く摂取しましょう、ということですね。
DHA・EPA摂取に関して有害物質の注意も記載されている
DHAやEPAは魚由来の脂肪酸です。イワシやサバといった青魚、マグロ(トロの部分や、目の周りにあるゼリー状の部分)に多く含まれています。
食事からDHA・EPAを多く摂るためには、魚をたくさん食べることになります。しかし、一部の魚には、水銀やダイオキシンといった、身体に悪影響を及ぼす重金属や環境汚染物質が蓄積しているリスクがあります。
こうした魚を多く摂ると水銀なども多く摂取してしまい、健康を害する危険があります。このため、魚を食べる時は種類と量に注意が必要です。
有害物質の蓄積リスクが高いとされる魚
魚の中でも、他の魚を補食する大型の魚(クジラやイルカを含む)に水銀などが蓄積している危険が高いと言われています。
避けた方がいい魚としてコビレゴンドウやバンドウイルカ、注意した方がいい魚にその他のクジラやイルカ、マグロやカジキ、キンメダイなどが挙げられています。
クジラやイルカを食べる習慣があって、食べる機会が多い人は、量や頻度について注意が必要です。
「妊娠中の魚の食べ方」に対する厚生労働省の資料
魚には、重金属等の有害物質蓄積リスクがあるため、妊婦さん向けに、厚生労働省が魚の食べ方を紹介した資料が用意されています。
これからママになるあなたへ/厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/051102-2a.pdf
これを参考に、妊娠中は魚の食べ方をチェックしてみてください。
例えば、マカジキのお刺身(1人前80g)を食べたら、一週間以内は食べてもキンメダイの煮付け半人前(40g)くらいにしておきます。
なお、マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロは水銀などの心配が不要と言われていますし、入手しやすいツナ缶やサケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオといった魚は通常通り食べても心配しなくて大丈夫です。
こうした、不安なく食べられる魚をメインに食べるようにすると気持ちよく食事ができるのではないでしょうか。
まとめ
DHA・EPAをはじめとするオメガ3脂肪酸は、厚生労働省が摂取目安を定める、大切な栄養素です。
しかしその反面、魚には重金属やダイオキシン等の有害物質が蓄積しているリスクがあるため、食べ方に注意が必要となります。
特に、妊娠中の場合は、胎児への影響もあることから、厚生労働省が魚の食べ方について、わざわざ資料を用意しているほどです。
DHA・EPAは、妊婦さんや赤ちゃんにとって大切ですが、安全に摂るのが難しい栄養素です。水銀検査等を実施しているDHA・EPAサプリを活用して、しっかり補っていきましょう。